第3回 ニカラグア運河の夢 視察の旅 旅の記録
〜 トーラ(Tola)とサン・ファン・デル・スル(San Juan del Sur)周辺 〜

戻る・Rerurn: Top Pageニカラグア運河


1.日 時: 2009年5月30日(土)、31日(日)

2.参加者: 中内清文、木島久恵、Y.斉藤

3.旅の行程(下記図2および図3参照):

    5月30日(土)
    09:00 首都マナグア(Managua) 出発
    13:00 ミラマール(Miramar) ブリット川(Ro Brito) 到着 地点@
        小高い山に登り周辺を展望 
    14:30 トーラ(Tola)東側ポイント 地点A
    15:00 採砂場内ポイント 地点B
    15:30 リオ・グランデ川(Ro Grande) との接触ポイント 地点C
    16:30 エル・カマロン(El Camarn)近傍の丘 地点D
    18:00 サン・ファン・デル・スル(San Juan del Sur) 到着

    5月31日(日)
    09:00 サン・ファン・デル・スル 漁港 見学
    10:30 イエス・キリスト像(所在地: サン・ファン・デル・スル市街北側の山頂) 見学
    11:30 ラ・クエスタの丘(Cerros La Cuesta) 到着
    12:30 隣国コスタリカとの国境の町 ペニャス・ブランカス(Peas Blancas) 到着
    13:30 ニカラグア湖(Lago de Nicaragua、別名Cocibolca)岸のカルデナス(Crdenas) 到着
    15:00 カルデナス 出発 ニカラグア湖沿いをさらに東へ
    16:00 サバロス(Sbalos)を通過し、オロシー(Oros)の手前辺りまで 到着 その後 カルデナス方面へ戻る
    17:20 ラス・ラハス川(Ro Las Lajas)にかかるラス・ラハス橋(Puente Las Lajas) 見学
    20:00 マナグア 到着

4.旅の目的
 30日は、リーバス県(Departamento de Rivas)トーラ市周辺を訪問する。この地域のルートを考察した結果、 図2.「ニカラグア運河リーバス地峡での運河ルート図(第1案、2009年5月)」(Mapa de Ruta del Canal de Nicaragua - Istmo de Rivas (Primer Borrador, Mayo 2009))のようになった。
堰堤および閘門(embalse y esclusa)は図の2箇所になると考えられ、この堰堤の箇所や貯水池全体像、 この地域のルートの全体像をつかむため、各地点から眺望を行う。

堰堤1において、2段式閘門にて高さ32m船を昇降させることを想定。堰堤2は堰堤1の万が一の事故時、あるいは 緊急補修時などにおいて、ニカラグア湖の水が流失させないことを想定。
この図ではトーラの町が水没するかのように描かれているが、当然のことながら市街を保全するため築堤がなされよう。

 31日は、サン・ファン・デル・スル周辺を訪問する。多くの通信アンテナの立つラ・クエスタの丘よりルートを眺望 するとともに周辺の踏査を行う。


 

図1.選定ルート図(GCINより)

5.視察結果
5.1 視察位置図 1日目

図2.「ニカラグア運河リーバス地峡での運河ルート図(第1案、2009年5月)」
Mapa de Ruta del Canal de Nicaragua - Istmo de Rivas (Primer Borrador, Mayo 2009)





5.1.1 地点@ ミラマール(Miramar) ブリット川(Ro Brito)
 ブリット川を堰き止めることになる堰堤1の辺りから北東方向を望んだもの。堰堤1からは北東方向に低地が大きく 広がっており、またその周囲には高さ100m強の丘が逆三角形状に立地している。従って、堰堤1によって広大な 貯水池がその低地にできることになる。堰堤1の地点ではブリット川をはさんで高さ100m ほどの丘が両側から迫りその距離は1.5km程であるので築堤には適していると思われる。


写真1.地点@ 北東方向を望む。
左側遠くに台地のように見える山の麓下にトーラ(Tola)の町がある。運河はその山の右側(写真の中央部)にある高い山の 裾野に沿いつつ地点4に至ることになる。

5.1.2 地点A トーラ(Tola)のすぐ東側のポイント(5万分の1地図上の「88m」地点)
 トーラの町からリーバスへ抜ける主要道路沿いの丘から、南を望んだもの。想定される運河ルートはかなり離れた南の地点 を通る。手前の道路を1,2km行くとトーラの市街である。


写真2.地点A 南方向を望む。
写真右側から中央部にかけて小高い丘が続くが、このあたりに トーラ市街水没防止対策用の堰堤が築かれるものと想定される。写真左端から中央部にかけてのはるか遠方に山々が 連なるが、その右端あたりが堰堤1・地点@である。眼前に広がる低地は堰堤1によって貯水池となろう。

5.1.3 地点B 採砂場内ポイント
 地点Bの辺りの採砂場内から、南を望んだもの。堰堤1を頂点とする三角形状の低地が一面に広がる。 眼前に広がるこの低地は堰堤1によって貯水池となろう。


写真の最左端の台地状の山がいったん途切れた後すぐに連山を形成しているが、その途切れたところに堰堤と閘門の建設 が想定される。

5.1.4 地点C グランデ川(Ro Grande) との接触ポイント
 ブリット川は上述の低地中央部あたりでトーラ川とグランデ川とに分かれる。トーラ川はトーラの町外れを北上する。 貯水池によって市街が水没するのを防止するため堰堤が築かれた場合には、このトーラ川の流路を変更する必要があろう。 他方、運河は貯水池を通過後、グランデ川に沿って幅1kmほどの広い谷筋を2kmほどさかのぼることになろう。 地点Cはその谷筋を形成している北側の尾根が先細りする辺りでのグランデ川との接触点である。川幅は20m程度。 見学時(乾期の終わり頃にあたる)の深さは30cm程度と思われる。

写真4.地点C 東方向を望む

5.1.5 地点D エル・カマロン(El Camarn)あたりの丘
 エル・カマロンあたりに小高い丘がある。その頂上から、東側を望むと、リーバスの町とオメテペ島(Isla de Ometepe) が見える(写真5)。
南側を望むと低地と丘が広がっていた(写真6)。この写真上では、考察の運河ルートの位置を見定めるのが難しいが、 写真中央部の最奥に見えるアンテナ山(山頂に多くの通信アンテナが立つ。正式名称は「ラ・クエスタの丘」(Cerros La Cuesta;  海抜432mで、この写真の中では最も高い山である)がルート判別上重要な手がかりになる。このアンテナ山のすぐ手前に うっすらと平らな丘の連なり(写真上では2cmほど)が見えるが、運河はその連なりの手前を通過して地点Cへとつながって 行く。サン・ファン・デル・スル(ニカラグア太平洋岸の最大の漁港・海のリゾート地)はそのアンテナ山のちょうど背後 にある(下記図3参照)。

写真5.地点D 東方向を望む

  
写真6.地点D 南方向を望む

5.2 視察位置図 2日目


図3.視察位置図

5.2.1 漁港見学
 サン・ファン・デル・スルの海岸の南側に日本政府の援助により建設された漁港ある。午後から航海に出る漁船がその 準備をしているところだった。メキシコ方面の海域へ約2ヶ月間、サメの漁に出るそうだ。

  写真7.日本政府の援助により建設された漁港施設      写真8.漁港入口のモニュメント


     写真9.航海に出る準備をする漁船            写真10.漁港に陸揚げされた漁船

5.2.2 イエス・キリスト像の丘見学
 サン・ファン・デル・スルの海岸の北側にある丘の上にイエス・キリスト(スペイン語で「ヘスス」という)の像が立つ。 高台になっておりここからサン・ファン・デル・スルの美しい海岸を一望することができた。

写真11.サン・ファン・デル・スルの海岸から見たイエス・キリスト像。 写真12.イエス・キリスト像

          
         写真13.イエス・キリスト像から見た海岸。南を望む。  写真14. イエス・キリスト像から見た海。 南西を望む

5.2.3 アンテナ山見学
 サン・ファン・デル・スルからニカラグア湖岸にあるラ・ビルヘン(La Virgen)へ向かう途中に、多くの通信アンテナが立てられて いるいわばアンテナ山、正式名称「ラ・クエスタの丘」(Cerros La Cuesta;海抜432m)がある。前日に、エル・カマロン(El Camarn) あたりの丘から見えていた山である。この山に登り、展望した。南西にサン・ファン・デル・スルの海岸を確認し、 北から北東に向け、リーバス方面〜オメテペ島を眺望した。小高い丘が多くあり、考案ルートを識別するのは難しかった。

写真15. アンテナ山頂上からサン・ファン・デル・スルの海岸を望む


写真16. アンテナ山頂上から北東側、オペテペ島やリーバス方面を望む

5.2.4 カルデナス見学
 国境の町ペニャス・ブランカス(Peas Blancas)から東へ30分ほどニカラグア湖沿いに行くと、 カルデナスに到着する。小さな町であるが、湖岸沿いからオメテペ島が見渡せ美しい景色が広がる。

         写真17. カルデナスの教会          写真18. カルデナスの中央公園


        写真19. 湖岸 東を望む。          写真20. 湖岸 北西を望む 前方奥にオメテペ島

5.2.5 サバロス(Sbalos)を通過しオロシー(Oros)の手前まで
 カルデナスからニカラグア湖をさらに東へ進んだ。雨季に入ったためか途中の川の水量が多く、渡川もかなり困難となり オロシーの町の手前で引き返すことになった。

          写真21. サバロス付近                写真22. オロシー手前

5.2.6 ラス・ラハス橋
 ラ・ビルヘンの北側にパン・アメリカンハイウェイとラス・ラハス川が交差するところにラス・ラハス橋がある。 前回のリーバス方面の視察時にも訪問した地点。先日と比べて、川幅および深さなど大差はない様子だった。

          写真23. ラス・ラハス橋           写真24. ラス・ラハス川。西側(下流側)を望む


写真25. ラス・ラハス川。 東側(ニカラグア湖側)を望む

6.その他気付いた点、今後の課題
・  トーラの町周辺の高台より眺望し、運河堰堤・閘門の想定箇所や貯水池像をイメージできた地点もあった。
・  堰堤の設置位置は図2の位置が有望であると考えられるが、海抜40m以下の範囲にトーラの町も入ってしまうため、 これを防ぐための堰堤も必要になることが考えられる。

7.今後の予定
・ サン・ファン・デル・ノルテ(San Juan del Norte)の視察を7月半ばに計画。
San Juan del Norteはニカラグア湖からカリブ海に流れ出る大河サン・ファン川(Ro San Juan)の カリブ海側河口にある町。かつて米国政府・議会で両洋運河をパナマ、ニカラグアのいずれの地峡に建設するかの 議論において、このサン・ファン川を利用した運河案が真剣に検討された。現在でもニカラグア政府のニカラグア両洋間大運河 計画「Gran Canal Interocenico por Nicaragua (GCIN)」(2006年)において運河ルート案の一つ として言及されている。

8.参考文献
(1)Gobierno de Nicaragua, Comisin de Trabajo Gran Canal, Gran Canal Interoce nico por Nicaragua (GCIN): Perfil del Proyecto, Agosto de 2006.

以 上
(記録:木島)


戻る・Rerurn: Top Pageニカラグア運河