FishTech - Photographs of Fishing Techniques −漁業技術の画像集「FishTech」−
by Emeritus Prof. Hiroshi Maeda, Fisheries College, Shimonoseki, Japan in collaboration with Asst. Prof. Koichi Fukada, Fisheries College, Shimonoseki, Japan
[著] 水産大学校名誉教授・理学博士 前田弘 [協力] 水産大学校助教授 深田耕一

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伊予灘西部における第2種
底曳網漁船の操業



 これは伊予灘西部で操業している手繰第2種の漁船の写真である。伊予灘は瀬戸内海の西部にあり、 従って東西方向に航行する船が多い。そのために、この船団の全船は東から西に向かって平行に曳網する。 漁場の西端付近で網を揚げ、東端付近に戻って(これを潮上りという)投網し、西に向かって曳網を繰返す。 操業時間は季節によって異なるが、夏季には昼間である。

No.1
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 曳網中の漁船  船はFRP製であるが、この地方における伝統的な和船の型を基本とする。すなわち、 長さの割りに肩幅は広く、船体を少し張出して木甲板を張ってある。この甲板は磨き抜かれ、普通はその上では 履物を履かない。また、操舵室の前後ともにテントを張ることも、瀬戸内海における漁船の特徴である。

 漁労用の主な装備は、県条例や組合の申し合わせによって異なり、それに応じて作業の詳細と乗組員数が異なる。 ここで示した船では、コッドエンドを引き揚げるために使われる丈夫なマストを機関室の前に、船の中央やや 後寄りにドラムを備えている。このドラムの直径は約1m、幅は張出を除くほぼ船体一杯である。これに曳索と 袖網を捲きこむ。この装備を用いて夫婦2人で操業できる。

 主機関のほぼ一杯の出力で、できる限り大きな網を曳くので、船尾にはスクリューカレントが目立つ。 しかし、曳網速度は遅いので、船首には波はあまり立っていない。これが曳網中の底曳網漁船を外から見た特徴である。

No.2
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曳網中  他の船と平行に曳網していることが分かる。この写真でも曳網中の船尾における波の立ち方が分かる。 曳網中の曳索は水平に近い。

 No.4・7・8・9・11・12・13・15・16及び17には他の船が写っている。それらの船首方位は西である。 このことから、それぞれの写真を撮ったときのこの船の船首方位が分かる。

No.3
[No.3: ft_image_15_20/image005.jpg]

 曳網終了直前の写真である。揚網準備のために2人は船尾の両舷近くに待機している。

No.4
[No.4: ft_image_15_20/image007.jpg]

 推進を止め、曳索をドラムに捲く。揚網(曳索の捲込み)の進み具合は、ドラムに捲かれた曳索の量と曳索が 揚がってくる角度から分かる。

 これは曳索の捲込みがかなり進んだ段階である。すなわち、No.3までの曳網中には曳索は水平に近かったが、 捲込みが進むに従って、俯角が大きくなる。またビームがある場合には、左右の曳索が次第に開く。

 推進を停止して曳索を捲く場合と、微速で前進しながら捲く場合があり、それぞれに長短がある。 前者の方法では、網が止まっており、早く揚がるが、船が網に曳かれて後退する。どちらの方法を取るかは、 各地の習慣と船を扱う人の考え方による。この船では停止して網を揚げる。

No.5
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No.6
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No.7
[No.7: ft_image_15_20/image013.jpg]

No.8
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曳索捲込み中 この間にドラムに捲込まれた曳索の量の増え方・曳索の俯角と開き方・乗組員の位置と動きの 変化を示すためにこれらの写真をあげた。

No.8では船の全形が分かる。FRP製であるが、この地方の伝統的な和船の型をしている。

 揚網中の船では、海底にある網が錨の代わりとなり、海面に浮かぶ船は風と潮によって流されるために、 停止している船は風または潮を船尾から受けるように回る。これは背景・波の方向・曳網中の他船の方向から 分かる。これらの写真では、まだ船首方位はほとんど変わっていない。

No.9
[No.9: ft_image_15_20/image017.jpg]

 まず、ビームの左端と左曳索の連結点が揚がってくる。それを外す。ビームに沿って索を渡してある。 ビームの右端を引寄せるために、それに沿って索がついた滑車を落とす。

 それまで網口を広げていたビームを外したので、2本の曳索の開きが狭くなったことが分かる。

No.10
[No.10: ft_image_15_20/image019.jpg]

 ビームの左端の連結点を外すと、ビームは立ち上がる。

 ビームの連結点から先の曳索は、ヘッドロープに続く細い枝とグランドロープに続く太いチェーンに分かれる。

No.11
[No.11: ft_image_15_20/image021.jpg]

 船はこれまでの間にゆっくりと左に回頭し、曳網方向に直交すと方向を向いている。

No.12
[No.12: ft_image_15_20/image023.jpg]

 ビームの右端と右曳索の連結点が揚がってくると、ビームの右端を右舷船尾付近に固定する。

No.13
[No.13: ft_image_15_20/image025.jpg]

 少し前進すると、ビーム全体が水面に現れる。

No.14
[No.14: ft_image_15_20/image027.jpg]

  ビームをこの状態にしたままで、手綱を揚げる。この際、グランドロープに続くチェーンの手綱はドラムに 捲込んで揚げ、それとともに揚がってくるヘッドロープに続く手綱は、人手でコイルされる。

No.15
[No.15: ft_image_15_20/image029.jpg]

 袖網が揚がってくるので、それに備えて船尾で待つ。

No.16
[No.16: ft_image_15_20/image031.jpg]

 手綱を捲き終わると、ヘッドロープとグランドロープの端が現れる。この写真ではヘッドロープの手綱2本と グランドロープの手綱2本、計4本が分かりやすい。

No.17
[No.17: ft_image_15_20/image033.jpg]

No.18
[No.18: ft_image_15_20/image035.jpg]

袖網をドラムに捲込む。

No.19
[No.19: ft_image_15_20/image037.jpg]

 身網が揚がってくる。船は流されて反対の方向を向いている。

No.20
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 身網の天井はモノフィラメントの網地でできている。これはあまり普及していない。天井網にモノフィラメントの 網地を使う理由ははっきりしない。

 モノフィラメントの網は曳網抵抗が少ないので、うまく設計すれば大きな網を使いえること・この方が製網工程が 少ないので単価が低いこと等があげられる。その反面、扱いにくく、消耗が烈しいこと、修理しにくいこと等が 欠点であると言われる。

 ここでは、主な対象の1つであるタチウオが網目に刺さっている。これは資源の有効利用のために好ましく ないばかりでなく、少なくとも、その日の最後の網を揚げた後で網を掃除しなければならないために、多くの 労力が必要になる。

No.21
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 身網は人力で揚げる。

No.22
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No.23
[No.23: ft_image_15_20/image045.jpg]

No.24
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No.25
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 コッドエンドだけを左舷に回して、機関室の前にあるマストから下がっている滑車を使って揚げられる。

No.26
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No.27
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No.28
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No.29
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No.30
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No.31
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ビームとコッドエンドを曳きながら潮上りをして、次の曳網を始める。これらの写真はその様子を示す。

 FRP製のビームの普及によってビームは船よりも長くなった。

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