FishTech - Photographs of Fishing Techniques −漁業技術の画像集「FishTech」−
by Emeritus Prof. Hiroshi Maeda, Fisheries College, Shimonoseki, Japan in collaboration with Asst. Prof. Koichi Fukada, Fisheries College, Shimonoseki, Japan
[著] 水産大学校名誉教授・理学博士 前田弘 [協力] 水産大学校助教授 深田耕一

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彦島におけるエビ漕網漁船(2)



            下関市では、エビ漕網漁船の大部分は彦島漁協に集っている。それは先に「下関市彦島漁協におけるエビ漕網漁船」 と「エビ漕網漁船の操業(六連島付近)」として示した。

 これらのファイルに示した頃でも、すでに隣接する北九州市や同じ山口県でも瀬戸内海沿岸の漁協では、 エビ漕漁船は船尾に櫓(ヤグラ)を設けて網を揚げていたが、彦島漁協やその近くの漁協から同じく響灘に出漁 する漁船には櫓はなく、右舷で投揚網する方式によって1人で操業していた。

 その後、彦島漁協に所属するエビ漕網漁船の中には、曳索と袖網をドラムに巻込みコッドエンドを船尾の櫓で 吊上げる方式が見られるようになった。それに伴って一部の船では、右舷で投揚網する方式から船尾で投揚網する 方式に変わった。

 同一漁港を根拠とする漁船の一部で起こった変化は、カラー魚探化や巾着漁船に見られたサイドローラーの設置等 のように、同一漁協に所属する漁船が数年の間に一斉に変わるように急速に広がることがある。あるいは、 漁期中に起こった変化が次々に伝わり一漁期中に全船に広がることもあった。特に、法規によって制限されていた 近代化が、その法規の規制がなくなった時、あるいは乗組員の労働軽減が一目瞭然のときには、このような ことが起こりやすかった。また、船主と船頭が違う場合にも起こりやすい。

 しかし、ここで述べるエビ漕網漁船は個人の持船であり、漁期・操業時間等について申合わせによって束縛が 多い漁業である。このような漁業では、レーダ等を備え、網をヤグラとドラムであつかう船と従来からある型の船が 混在して、同じ申合わせの下で同じ漁場で操業する。このような場合、近代化が収入の増加につながりにくいので 条件は全く異なる。従業者の老齢化も、近代化が急速に進まない原因の1つだろう。

 No.1からNo.4までは、はドラム化と櫓設置が進んだ船の写真である。2000年11月にはこのような船8隻だけで、 改装中の船はみられなかった。そして、先に示したような船が現在でも残っているかあるいは主力であることは、 各写真の背景に写っている船からも分かる。

No.1
[No.1: ft_image_15_24/image001.jpg]

 新しい型の船を右舷正横から写した写真である。

 船首から1/3のあたりに操舵室があり、それより前は、甲板下が区切られたイケスになっており、漁獲を選別して 活しておく。

 左舷に沿って2本のFRP製のビームがあり、連結して伸ばすとほぼ船の全長の2倍の幅になる。

 操舵室の屋根にはレーダがあるが、位置が低いので、近くしか写らないだろう。漁場は「エビ漕網漁船の操業」 に示したように岸近くに限られるので、遠方まで写す必要はない。

 操舵室の後には船の幅ほぼ一杯にドラムがある。これに曳索・袖網・身網の一部が捲込まれる。

 船尾にはコッドエンドを引揚げるための鉄パイプで作った櫓がある。この船の漁場は冬期に北西風が卓越するので、 重心を高くできない。櫓の左舷側にそって細いハシゴがついている。

この写真の操舵室の後にみられるのは、他の船の網である。

No.2
[No.2: ft_image_15_24/image003.jpg]

No.3
[No.3: ft_image_15_24/image005.jpg]

 右舷後方から斜め前に向かって写した写真である。ドラムの幅と高さの概略が分かる。

 櫓には縦方向の補強はない。上端付近に数本のロッドが横方向に渡される。

船尾は網を揚げやすいようにわずかばかり低くなっている。船尾にはローラがあり、曳網中に曳索の左右動を 妨げる低い縦ロッドがみられる。船尾の構造は左に見られる従来型と異なる。

No.4
[No.4: ft_image_15_24/image007.jpg]

 左はドラム化した船である。櫓の下の幅は広いが途中から狭くなる。この船はNo.5の右端に見られる。

 右は右舷で投揚網をする従来式の船である。操舵室と機関室の概型は従来型のままであるが、レーダを備える。 機関室の横には曳索と袖網の一部を捲込むリールを備える。機関室の前面左側には甲板や漁具を洗うための ポンプにつながるパイプが見られる。

   これらから基本的には従来の型であるが、小さな改造は適時行われたことが分かる。

 従来型の特徴である船尾のブルワークは舷側と同じ高さで、その前の甲板は網を載せるために低くなって いるのが分かる。

No.5
[No.5: ft_image_15_24/image009.jpg]

No.6
[No.6: ft_image_15_24/image011.jpg]

 この漁協の船溜りでは、エビ漕網船は、防波堤では左舷着けであるが、陸岸には舳先着けである。種々の 船型の船が混ざっていることを示すために、防波堤から陸に向けて撮影した写真である。

 船尾から見るとほとんど1隻ごとに構造の異なることが分かる。

 No.5の右端の2隻に関してはすでに説明した。櫓を備えた船でも船尾が下がっていない構造の船がある。

 網の一部が白か水色に見えるのは、網の上半分にモノフィラメントの網が使われているためである。 コッドエンド部が2又に分かれているが、それは船に搭載されている状態ではほとんどわからないし、 広げてある網を撮影した写真でも分かりにくい。

No.7
[No.7: ft_image_15_24/image013.jpg]

 新しい船はマグネットオートパイロットを備えている。1人乗りの漁船において、曳網中には前回の曳網による 漁獲物の整理に当たるので、これは、確かに乗組員の労働軽減に役立つ。しかし、見張に重点が置かれなくなり、 あまり推薦できない。

 詳しく調べれば、この装置は、従来型の船にも見られるだろう。

No.8
[No.8: ft_image_15_24/image015.jpg]

 操舵室にある計器類の表示部が集められている。カラーレーダ・カラー魚探・GPS・データロガーが備わって いるのが分かる。

 漁場がすぐ近くの浅い海域であり、分散するエビを狙って操業するので、それぞれの機器がどの程度必要か、 どの程度普及しているか、機番から考えて機能がどの程度発揮されているか、沿岸漁業における機器類の普及の 程度と動機等に関して興味が持たれる。

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