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小魚を獲るのに、50cmに近い網目の袖網から、魚捕に近づくに従って目合い数mm以下まで、次第に網目を
小さくして、人力か小動力のキャプスタンを用いて小さな力で大きな網を曳く。このような技術は長年の
経験の蓄積による。
多人数の余剰労働力を利用する方式は、近代の漁村の社会情勢に合わないので、ドラム化に切替えた。
これによって、小人数で同じ対象を漁獲する方式に変わり、現在の社会に適応した。
同様な変化が各地で起こっている。同じ漁法における各地の共通性と独自性が見られる。このような例は
珍しいので、ここにあげる。
初期の変化はファイル「在来型の船曳網の操業(和歌山県田辺湾)」と「ドラム式シラス船曳網の操業
(和歌山県田辺市)」、「在来型シラス船曳網の操業(山口県萩市)」と「ドラム式シラス船曳網の操業
(山口県萩市)」として、それぞれ別のファイルに示した。しかし、それらの収録から漏れた写真と、
他の地方に見られる船曳網の写真をこのファイルに収録した。
No.2
No.3
No.4
2隻の船が組になって1統の網を曳く。同じ漁港を根拠とする船でも、揚網における機械化の程度は
組ごとに異なる。先に示した船では、陸上用の小型エンジンで動かすキャプスタンが揚網に使われる唯一の
動力機械であった。No.1とNo.2に示す船では、巾着網用と似た型のネットホーラを各網船の船尾に、
柱にはボールホーラを備える。
No.3に示した船では、船尾にネットホーラはなく、角型のダビットの先に小型のパワーブロックに似た
装置を備え、その付根にドラムがあり、少し離れて昔から付いていたキャプスタンが残っている。
No.4に示した船には、昔のままの装備で、キャプスタンしかない。
このように、同じ港を根拠とし同じ漁法を行う漁船でも、船ごとに装備された機械が異なるので、
揚網法の詳細は異なるだろう。
いずれにしても、これだけの設備で、船に搭載されているような大きな網を、1日に数回揚げる。
No.6
No.7
No.8
No.9
No.10
No.11
2隻ずつ似た型の中古船を集めて、1年の間にドラム化した。これらの元となる船がそれまでに行っていた
漁法は分からない。
操舵室は高いが、船曳網漁船では、舵輪だけで十分であり、操舵室を高くしなければならない理由は見出せない。
しかし、この傾向は多くの地方において共通して見られる。
No.13
No.14
No.15
船尾水面にはプロペラカレントに空気を吸い込まないように張出がある。
No.17
No.18
No.19
No.20
No.21
No.22
No.23
No.24
No.25
No.16は’70年代中頃には動力船で曳航する和船を用いていたことを示す。その詳細はファイル「在来型の
シラス船曳網の操業(山口県萩市)」に示した。それらの写真を撮影したときには「ドラム式シラス船曳網の操業
(山口県萩市)」に示したドラム式の船曳網と共存していた。当時の和船では網を揚げるのにVローラを用いていた。
その後、和船式の船曳網漁船はNo.17からNo.20に示すような動力船に変わった。これらの船はVローラを装備する。
すなわち、和船時代の影響が、動力船に変わった後でも残っている。これらは自力で移動できるが、各写真に
見られるように、探魚と漁獲物を運搬するために小型の動力船が随伴する。漁獲物には高い鮮度が要求されるので、
長い網を揚げ終わるのをまたずに、コッドエンドから漁獲物だけを取上げ、直ちに加工場に回されるためである。
その後、No.21からNo.25に示すように、全船は3ドラム式(1隻にはドラム2基、もう1隻にはドラム1基を
付ける)に変わった。しかし、詳細に見ると、一方の船の右舷前寄りにネットホーラを備えるもの、船尾の
ローラの幅、ドラムの使い分け等、それぞれの組はお互いに異なる。それによって操業法の細部も違う。
No.27
No.28
No.29
No.30
カタクチイワシを漁獲するので、当時の日本の沿岸漁業としては珍しいフィッシポンプを使っていた。
No.29では、袖網の網目が大きいことが分かる。
No.32
No.33
No.34
No.33とNo.34に示す写真では、袖網と身網で網目が著しく異なること現れている。
No.37
No.38
No.39
No.40
No.41
No.42
No.43
No.35とNo.36は、これまでに示したと同じ船型の船曳網漁船である。
No.37からNo.42までは、この地方独特の型の船である。これまでに示した船は2隻で1統の網を曳く。
しかし、ここに示す写真の船は1隻で1統の網を曳く。船尾にローラのある肩幅の広い漁船で、小型で
水線上構造は小さい鉄船が多い。機関室の後に幅が広いドラムを備え網を巻いてある。
その付近に大きなブイが見られることが多い。それら以外の漁労装置はない。
明石海峡は潮流が速いことで有名であり、それを利用したこの地方独特のパッチ網あるいは道楽網と
呼ばれる潮打瀬網を行う。その漁船である。鉄船を使わなければならない理由はない。海岸工事が盛んで
あった地域であり、工事用の船の中古を活用したと考えられる。
No.43は古い型の木造の潮打瀬漁船である。左舷に軸が縦の笠型のネットホーラが見られる。この型の
ネットホーラは他の地方では見かけなかった。この地方でも、この型のネットホーラは、他の漁法では
見られなかった。
養殖の餌になる大型のイカナゴを漁獲する。
No.45
No.46
No.47
No.49
No.50
No.51
No.52
No.53
No.54
No.55
No.56
No.57
No.58
No.59
No.56とNo.57に示すように、近くの漁協では、同じ業種に古い大型の木造漁船を用いていた。これらの漁船では、
先に記したこの地方独特のネットホーラを用いる。
No.58とNo.59は、これらの船が用いる網を示す。網は大きい。袖網の目合いが大きく、魚捕では小さい。
魚捕は2重になり、工業用チャックが使われている。これらの特徴は、他の地方でも見られた。
No.61
No.62
No.63
No.64
No.65
No.66
船曳網漁業は、元来は沿岸の表層において長い網をゆっくりと曳く。したがって、操舵室にはほとんど
計器類はない。しかし、No.65とNo.66に示すように、ここの船曳網漁船は異なる。操舵室の中には、魚探と
リアルタイムで船位を求められる計器がある。
各写真では、大きな浮子が目立つ。他の地方における船曳網の浮子は、これらの網におけるほどは目立たない。
普通の船曳網のグランドロープは細いが、この地方の網ではそれよりも太めで、No.63の左に示す船では甲板に
チェーンが見られる。深い漁場で網を曳く場合は、海底の障害物は関係ないが、浅い漁場では海底を考えなければ
ならないだろう。船曳網と呼ばれるが、底曳網との兼用あるいは中間型である可能性が考えられる。法律的
あるいは人為的には、船曳網と底曳網は別のものとして扱われるが、区別しにくい例があるかも知れない。
No.68
No.69
No.70
No.71
No.72
No.73
ここの船曳網は、他の地方における同じ漁法と多くの点で異なる。ここでは、船は1隻で1統の網を曳く。
操舵室は船の甲板から第3層にあり、この点は、他の地域における船曳網漁船と似ている。上部構造は後に
向かって長い。その後に網を巻込むドラムがあり、角型の船尾の上縁にはローラがある。網はドラムと
ローラの間で扱われる。すなわち、船の全長に比べて狭いスペースで網を扱う。
ここの船曳網の特徴は、横に長い長方形の木製平板の拡網板を使うことである。両舷の外側にはそれが見られる。
この拡網板を使うために、1隻で1統の網を曳ける。
表層トロールの変形と考えられるが、ヘッドロープには浮子は見られない。
このファイルに示したように、各地域の漁船には共通点がある。それは理解できる。しかし、共通点の中でも
1隻ずつその詳細は異なる。その反面、地方における特有の型がある。それを示すために、いくつかの例をあげた。
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船曳網は、漁業の伝統がある砂浜の地先において、イワシかカタクチイワシの幼魚(シラス)を漁獲する漁法である。
数mmから数cmの魚を漁獲するために長い網を曳く。’70年代の中頃までは、無動力船を動力船が曳き、
多人数の老人と婦人が行う漁法であった。
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