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私の人生における2つのキーワード
スペイン語と絵 広大なパンパ、アンデスの山々、月世界(に似た砂漠)、氷河。途方もない数々の風景。私の人生は大きなカルチャーショックと共に始まったような気がします。 父の転勤で連れられて、5歳の時にアルゼンチンへ渡った私には、それこそ圧倒的な世界が待ち受けていました。まだ日本という国すら認識していない私でしたが、その瞳に映るのは、それまでの日本の記憶とはまるでちがう衝撃の世界でした。 そこで異国の色彩や自然の芸術をシャワーのように全身で浴びて過ごした、そんな贅沢な黄金時代が私の幼少期です。 その後帰国してからも旅好きの親に手を引かれヨーロッパ中を巡り、南米とはまた違う空気に触れ、新しい風を感じ、そうしていつの頃からでしょうか。そのうちスケッチブックと色鉛筆が欠かせない自分に気が付いたのです。 物心のついた頃から私は絵を描くことが大好きだったのですが、本格的に熱を入れ始めたのはこの頃からです。それはスケッチしない時間が惜しいというほどで、よほど描くものが見当たらない時でさえ、近くのゴミ箱を熱心に描いていたという熱の入れよう。 一歩歩む度に立ち止まってスケッチを始めるという、その行動は親にとっては単純にはた迷惑だったようですが……。 ただただがむしゃらに描くその様は、始めは一種の熱病のようなものでした。 とにかく「もったいない」という気持ちに支配されていたものです。せっかくの美しい場所、この旅の感動の瞬間を絵に残せなくて「もったいない」という気持ち。焦りに近いような感覚です。これが一瞬一瞬続き、ひとつも漏らすまいと描いて描いて描きまくる。こうした日々の連続が今の私の原形となったのでしょう。 |