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カゴは作ってしまえば、人件費を除くと運営費は少なくてよい。小さなカゴの場合は扱うのに大きな力を
使わなくてよい。
活魚指向に最も適した漁法である。
典型的な受動性の漁具の1つであるが、その特性から考えられるほどには、対象生物の習性を利用したような、
地方独特の特徴があるものは少ない。
カゴが各地の漁協の近くに放置されているのをときどき見かける。普通は多数のカゴを延縄方式で用いる。
主な対象生物と型によって、それぞれフグカゴ・アナゴ筒・バイカゴ等呼ばれる。あるいは、伝統的性格が強い
ので地方独特の名前で呼ばれることがある。
漁協の近くでカゴを見かける割には、あまり多くの魚種を対象としていない。また、専業漁師が主な漁法として
用いると考えられないものもある。
タコツボはよく知られているので、別のフォールダ「タコ壷」に示した。カゴは淡水漁業でもよく使われる。
そのいくつかの例は、「琵琶湖北岸の漁業」に示した。
魚類ではフグとアナゴ、甲殻類では カニとエビ、軟体動物ではイカとバイを対象としたカゴを例としてあげる。
No.2
No.3
No.4
No.5
No.6
No.7
No.8
No.9
No.10
No.1とNo.2に示すように、この漁業は、沿岸漁船としてやや大型の多目的漁船が季節的に行う。漁期のはじめに
一旦設置されると魚の移動を追って漁場を変更するとき以外は、漁期の終わりまで設置されたままである。
数十カゴを延縄方式につなぎ、1人で数組を扱う。No.3に示したラインホーラを用いて2日から3日おきに
カゴを引揚げ、入っている魚を取出し、餌を入れかえる。
No.4とNo.5は設置直前に船に積まれているカゴを示す。No.6とNo.7は準備されたカゴである。
立方体の枠に金網を張る。これは小型のフグといえども歯が鋭く、金網以外では噛み切って逃げてしまうからである。
錘として焼き物をつけ、中に小さなガラスの浮子と入れる。すなわち、カゴはバランスを取りながら僅かに
着底している。このように軽く大きい割に錘が少ないカゴが多い。
枠には割竹か太い針金が用いられる。餌として冷凍したイワシが中に入れられる。No.8からNo.10までに示すように、
入口は側面中央の下縁にあり、中央の桁から下りた斜めの蓋がある。
小型で金網張りなので、あまり速くなければ、小さな力で操作できる。
No.12
No.13
No.14
No.15
No.16
No.17
No.18
No.19
No.20
No.21
No.22
No.11からNo.16まではアナゴカゴの操業写真である。山口県の上関において撮影した。No.11とNo.12に示す漁船は、
カゴを積んで漁場に向かっている。No.13からNo.16までに示す漁船は、同じ時刻に近くでカゴを揚げてはじめている。
作業中の人と比べるとカゴの大きさが分かる。
揚げている船の上にもカゴが見られる。設置場所を変えるのでなければ、揚げたカゴの餌を入れ替えて海に
戻せばよい。揚げている船にカゴが見られることについて、壊れたカゴと入れかえるためであるとしても、
泥の上にあるカゴが簡単に壊れると考えられない。カゴの弱点は移動性の漁具と競合するとき壊されやすいことである。
漁協内の話し合いによって漁場を使い分けているとすれば、壊される可能性は少ない。
これらの写真から分かるように、漁具とラインホーラの型は船によって異なる。
’70年代末には、No.17とNo.18が示すように、割竹を組んだ筒が使われていた。しかし、竹製の編みカゴは海底に
設置されたままにすると耐久性に乏しい。使用する人か漁村の余剰労働力によって作られる。この状態は現在の社会に
適応しなくなり、近年ではNo.19からNo.22までに示すように黒か灰色の塩化ビニール管か硬化ゴム製の筒に変わった。
筒の材質・色と入口のジョウゴの型は漁協によって異なる。山口県の秋穂において撮影した筒(No.20)は灰色、
山口県の南風泊において撮影した筒(No.21とNo.22)は黒色である。操業中の船が使っていた漁具はこれらとも異なる。
No.21とNo.22は下関市の南風泊において撮影した。断面が平らなドラムで揚げられる。これは引退したか
兼業の漁師が行う漁業であり、このラインホーラは刺網のネットホーラを転用している。
No.24
No.25
No.26
No.27
本格的なカゴ漁業があるとすれば、漁期以外には、多数のカゴが積上げられているのですぐ分かるはずである。
しかし、これらの写真を撮影した場所には1つの場所に数個以上のカゴは見られなかった。したがって、
実際に専業として使われたと考えられない。漁協の近くでホビー的に使われた可能性がある。
釣鐘型に曲げた木枠のもの(No.23)と太い針金の枠のものがある。ほとんどは2層で、入口は下の階の側面にあり、
その型は一定しない。
No.24とNo.25に示すカゴは、磯魚を誘引するためにわざわざ海藻で被っているとのことであった。
(天草地方から秋穂に導入した)
中でも変わっているのは、No.27に示す仕掛である。山口県の大畠において撮影した。大きさ形とも、
傘の骨と似ている。この枠にモノフィラメントの網を張り、中央に餌を置く。魚が集ると引揚げる。
すなわち、見張っていなければならない。見張っていなくてもよいことが、カゴ漁業の特徴である。しかし、
これではその特徴を捨てている。1つだけを漁家の軒下で見かけた。家族が楽しみを兼ねて使う以外には考えられない。
No.29
No.30
No.31
No.32
No.33
No.34
No.36
No.37
北日本における大型のカニと西日本におけるガザミは、大きさとそれらを漁獲する漁業の規模が異なる。
本格的なカニカゴ漁業の例をNo.28からNo.30に示す。これらの写真は、’70年代前半の初夏に根室において
撮影した。
No.28に示す船は、マグロ延縄船の中古を改装したと考えられる。漁獲対象のカニは大きいので、カゴは大きい。
しかし、軽い。前甲板で揚げられた大きなカゴは後部まで右舷外側にあるチェンシステムに吊って送られ。
このシステムは船橋とほぼ同じ高さで水平に走っている。
No.29は木造のかけまわし漁船を用いたカニカゴ漁船である。カゴの大きさと上にある入口の型・積上げ方が分かる。
No.30はそれよりもやや小型のカニカゴ漁船である。当然のことであるが、船は小さくなってもカゴの大きさは
変わらない。並んだ2隻の船のそれぞれの左舷にあるネットホーラは刺網用であり、それを利用してカニカゴを揚げる。
揚がったカゴを修理等のために船上で移動させるデリックその他のシステムは見当たらない。
No.31は能登半島において撮影した。ズワイガニのカゴと考えられる。
No.32からNo.36までは各地において撮影した。いずれもガザミ用のカゴとのことである。No.35とNo.36は小型の
沿岸漁船でも多数を運べるように折りたためる。ガザミの体型と大きさを考えると入口が小さくガザミカゴか疑問
であるが、ガザミ用であると説明を受けた。
No.37はガザミカゴを使う漁船の写真である。船外機を用いることと左舷中央に簡単な無動力プーリ以外の装置
がないことから分かるように専業漁師が主な仕事として用いると考えられない。
No.39
No.40
No.43
No.44
No.45
No.46
これらは下関市におけるこの漁具を示す。No.41に示すように、直径約1.5m高さ約50cmの平らな円筒形である。
割竹で円形の枠を造る。十字型に組合せた梁の各端には錘として石をつける。この写真の左上に写っているように
漁期外には折りたたんでしまわれる。中央にある竹の柱によって網の袋を吊上げカゴの型にする。
以前には周囲は巾着網の古い網地を使っていた。これは当時には多量入手しやすく、価格が安いことと、
昔の巾着網の網地はコールタールで染め、それが使用中に水に晒され、臭いがなくなり、適度の柔軟性と比重を
残していたからである。遠洋漁業や沖合漁業の中古資材を沿岸漁業が使う一つの例である。
入口は円形で側面につける。1つだけか対称の位置に2つ付けるかは、使用する人の好みによる。入口の外側に
入口の外径よりやや長めの柴の束をつける。この柴には特定の山から特定の時期に刈りとってきたもので
なければならない等の言伝えがある。餌は使用しない。柴に誘われて産卵のためにイカがカゴの中に入る。
約50個を延縄形式に連ねる。一人で数組を使用する。海中にしばらく設置し、その後は2・3日おきに揚げて、
上面の柱との結び目を解いて漁獲物を取出す。
産卵期には砂で被われた卵が網地についている。これは後から産卵にくるイカを誘引するために残される。
卵がたくさんついた柴は、イカを誘引するために漁獲が少ないカゴにされることがある。時に魚が入ることがある。
イカの食害によって傷み商品価値がなくなったものは餌として残される。また、中に入ったイカのうちで雌を
誘引するために雄を1尾残すことがある。
産卵集団を対象とするので、漁期は短く、しかも地方によって異なる。
割竹製の漁具を数ヶ月間海中に設置するので、漁具の寿命は短い。作りかえる手間を省くために、鉄棒を組合せた
枠が使われるようになった。その例をNo.45とNo.46に示す。その型は竹製のときと同じであった。
カゴは大きいので、水中から引揚げるのに縄には力がかかるが、’80年代の始めまでは、藁縄が使われていた。
沿岸漁業でカゴやタコ壷を延縄方式に結ぶ縄には、新しい縄以外の材料が使われることが多い。マグロ延縄の
上がり縄を撚り合わせたものがよく使われる。
No.48
No.49
No.51
No.52
No.53
No.54
No.55
No.50に示すように、大きさと型は同じであるが、割竹を編んだカゴ・家庭用のプラスティックのカゴ・直径が
同じ塩化ビニールパイプを同じ高さに切ったものまで入手しやすいもので作られ、種々のものが1連として使われる。
No.53に示す船はNo.52 に示す型のカゴを使っている。No.54とNo.55に示す船に搭載してあるのはすべて割竹で
編んだカゴである。
天井は、中央に丸い入口を残し、それ以外の部分は独特の網目でふさがれる。錘としてセメントが流される。
No.51とNo.52に示すように円錐台の型をしたバイカゴもある。上の入口は大きい。
中には餌としてカマボコの残滓が使われた。しかし、その入手が困難になったので、冷凍イワシの切り身が使われる。
分布範囲は広いが、1つの漁協で多数の漁船がこの漁業を用いるのを見かけない。引退した漁師の仕事と考えられる。
No.53からNo.55まではバイカゴ漁船の写真である。No.53に示す船にはカゴを揚げる装置はついていない。
No.54とNo.55に示す船では、カゴは右舷にある油圧ラインホーラで揚げられる。
No.57
No.58
No.59
No.60
No.61
No.62
No.63
No.64
No.65
No.66
No.67
No.68
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直接漁獲する道具として用いられるカゴ(筒を含む、以下単にカゴと呼ぶ)は、他の漁法を使えないような
地形の漁場でも使える。1カゴ当たり・単位時間の効率は低いにしても、多数を同時に用いることができ、
長時間放置して漁獲を続けさせることによって、それを補う。
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注:この拡大画像から縮小画像作成のこと]
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