FishTech - Photographs of Fishing Techniques −漁業技術の画像集「FishTech」−
by Emeritus Prof. Hiroshi Maeda, Fisheries College, Shimonoseki, Japan in collaboration with Asst. Prof. Koichi Fukada, Fisheries College, Shimonoseki, Japan
[著] 水産大学校名誉教授・理学博士 前田弘 [協力] 水産大学校助教授 深田耕一

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カツオ竿釣



       これはファイル「カツオ竿釣操業」に示した写真の20年から30年前に撮影した写真である。この間、 一部写っていた木造船がなくなった以外、カツオ竿釣船の概観はほとんど変わっていない。

 しかし、船の建造後も必要に応じて改造された跡が認められる。

No.1
[No.1: image12-16-001.jpg]

 犬吠岬付近で追い越された船の写真である。幅が広く乾舷が低いこと、船橋の上は見張をする構造になっていること、 船首は突き出て撒水パイプが走っていること等カツオ竿釣船の基本構造が分かりやすい。

 前檣とメインマストの間の高い位置にアンテナを張ってあるが、それ以外に水線上には支索・支柱は全く見られない。 また普通の船では、船首には手摺がある。しかし、この部分はカツオが最も良く釣れると考えられているので、 釣手が集り、従って手摺はない。

No.2
[No.2: image12-16-003.jpg]

北洋からの帰途に金華山沖で出会った操業中の沿岸カツオ竿釣船の写真である。付近で数隻の船が釣っていた。 この付近では表面水温は変動が烈しかった。

 釣上げられたカツオがキラキラ光ながら落ちて行くのが遠くからでも分かった。左舷釣り、撒水はこのように 船の近くの海面に対して行われる。

 カツオを釣っているときには、釣手を海面に近づけるために、船を左に傾けている。

No.3
[No.3: image12-16-005.jpg]

No.4
[No.4: image12-16-007.jpg]

 ファイル「カツオ竿釣操業」に示したと同じく近海カツオ竿釣船の写真である。船尾に自動釣機がみられない以外、 現在の船とほとんど変わりない。

No.5
[No.5: image12-16-009.jpg]

No.6
[No.6: image12-16-011.jpg]

No.7
[No.7: image12-16-013.jpg]

遠洋カツオ竿釣船の写真である。No.6とNo.7は枕崎の漁港付近の陸上に保管してあった。先に記したカツオ竿 釣船の特徴がよく現れている。左舷沿ってほぼ全体にわたってハンドレールが見られるが、これは起倒式である。

 カツオ竿釣船は航走するだけで網を曳かないから、高出力の主機関は必要でないと考えられる。しかし、 実際には、200トンの船で1500馬力と、同じ大きさの底曳網漁船よりも大きな主機関を備え、10ノット以上の 速度で航走する。

No.8
[No.8: image12-16-015.jpg]

No.9
[No.9: image12-16-017.jpg]

No.3とNo.4に示したのとほぼ同型の船の船首と船尾の写真である。

 No.8では撒水ノズルの配置、両舷に沿った漁獲物を流す樋、魚を受けるテントとそれを広げる装置、活餌槽が分かる。 しかし、餌リフトはついていなかった。

 前檣には支索を取れないので、3本の柱になっている。この特徴はNo.3からNo.6でも見られる。

 No.9では、船尾の釣台、撒水ノズル、船橋上の見張りをする部分が分かりやすい。

No.10
[No.10: image12-16-019.png]

現在の船では撒水ノズルは撒水パイプに直接ついているが、古い船ではホースでつながれ、先を平らに潰した口が ついていた。

 茶色の線までが船体で、その外側は張出した釣台である。船尾は船首に次いで漁獲が多いという考え方があり、 そのために木造船から鉄船に変わった頃から船尾は角型になった。

No.11
[No.11: image12-16-021.jpg]

No.12
[No.12: image12-16-023.jpg]

No.13
[No.13: image12-16-025.jpg]

 No.11からNo.13は宮崎県の南郷において撮影した木造船の写真である。

 No.11では船首は釣台のために突出ていることと、その付近の撒水装置を示す。

 No.12は当時の船における中央部付近の釣台と撒水パイプ、活餌小出しタンク(舷外に張出した白いタンクで、 排水パイプがついているのが分かりやすい)を示す。

 No.13釣竿によれば、約30年前でもすでにグラスファイバーロッドが使われていた。左手前に見える百葉箱は 野菜を保管するためである。当時は、野菜はこのようにして保管されていた。釣竿は釣る場所の近くに置かれる。 この地方では、船尾は良い釣場とみなされていたことが分かる。

No.14
[No.14: image12-16-027.jpg]

ほとんどの船は左舷で釣るが、一部の船は右舷で釣る。

 釣れたカツオを中央部まで流す樋のシステムとその分岐法は、この写真が最も分かりやすい。 このシステムは船を建造した後で追加された可能性が考えられる。

 画面ほぼ中央を上下に走る茶色の線はブルワークトップで、その外側は張出した釣台である。 この釣台がカツオ竿釣船の特徴である。

 左の円形は活餌槽の口である。魚を釣るときにはハンドレールを倒せるようになっている。

No.15
[No.15: image12-16-029.jpg]

No.16
[No.16: image12-16-031.jpg]

No.17
[No.17: image12-16-033.jpg]

 探魚中と操業中は船橋の上で操船する。No.15はそのためにつけられた舵輪と機関のリモートコントロールである。

 船橋の上には魚探(No.16)、電気水温計(No.17)の指示部がある。

No.18
[No.18: image12-16-035.jpg]

 沿岸には、数名しか乗組まない小型のカツオ竿釣船がある。小型であるが、100−200トン級のカツオ竿釣船で 見られたと同じ特徴を備える。

No.19
[No.19: image12-16-037.jpg]

 竿釣用の餌イワシは定置網や棒受網で漁獲され、以前には、このような組立て式のイケス(コワリと呼ぶ)に 蓄養されていた。

No.20
[No.20: image12-16-039.jpg]

 活餌槽に赤色灯を点灯しておくと、餌魚は落ち着いた行動をするので死亡率が低い。そのための水中灯を示す。 キャプタイアの束が見られるので、このシステムは船の建造後に追加されたことが分かる。同じような キャプタイアの束はNo.27とNo.28にも見られる。

 活餌槽はフリーウオータの危険を避けるためにハッチの上端まで海水を張る。したがって、別の通気システム によって餌魚には酸素を送っている。

No.21
[No.21: image12-16-041.jpg]

 No.13に示すように、釣竿は木造船の時代の終わり頃からすでにファイバーグラスロッドに変わっていた。 これは1997年において、同じく南郷において船首から船橋方向に撮影した釣竿の写真である。

 船首付近は最も良い釣場なので、多くの釣手がここで釣る。1人の釣手が数本の竿を用意するので、 多数の釣竿を置いてある。

No.22
[No.22: image12-16-043.jpg]


[image12-16-045.jpg]

 初期の自動釣機(内側に振り込んだ状態で止め、竿ははずしてある)この船は釣機の左の、斜め左下に下がる 白いブルワークトップまでである。その外側(左側)には隣の船の舷側が写っている。

 釣上げられた魚は、現在では海水が流れる樋で運ばれるが、当時コンベアで運ばれた。

No.23
[No.23: image12-16-047.jpg]

 手造りの釣針の見本の写真である。説明には土佐カツオマグロ釣となっている。 カツオ釣の道具は釣竿と釣針だけであり、擬餌はそれぞれの乗組員の手造りである。釣針は手造りのものが好まれ、 高知で作られた土佐針が有名である。その製造課程は別のファイルに示した。

 カツオ釣にはカエシのない釣針が普通であるが、この見本の大部分はマグロ延縄用で、カツオ竿釣用の釣針は 下2段中央左寄りに示される。

No.24
[No.24: image12-16-049.jpg]

 釣竿は股の間で支えられる。地方によってはスポンジ製のこのようなものを首からかけて竿受けに用いた(南郷)。 しかし、この道具はその後でも他の地方の船では見られなかった。

カツオの荷役

No.25
[No.25: image12-16-051.jpg]

No.26
[No.26: image12-16-053.jpg]

No.27
[No.27: image12-16-055.jpg]

No.28
[No.28: image12-16-057.jpg]

No.29
[No.29: image12-16-059.jpg]

No.30
[No.30: image12-16-061.jpg]

No.31
[No.31: image12-16-063.jpg]

No.32
[No.32: image12-16-065.jpg]

 近海で漁獲したカツオは水氷で氷蔵にして持って帰られる。氷蔵のカツオは1尾か2尾ずつ尾柄をぶらさげて 人手によって市場に揚げられ、大きさごとに分けて数尾ずつ発泡スティロールの箱に入れられる。しかし、 遠洋の漁獲物は冷凍にして持って帰る。

 No.25からNo.28は、宮崎県南郷における氷蔵カツオの水揚げ、No.29からNo.32までは鹿児島県の枕崎における 冷凍カツオの水揚げの写真である。

 近海で漁獲されたカツオは主にタタキを含む生鮮で消費され、遠洋で漁獲されたカツオはカツオ節や缶詰に 加工される。両者の間では荷役の方法から異なることが分かる。

カツオの幟(ノボリ)

No.33
[No.33: image12-16-067.jpg]

   枕崎の市場にはカツオ幟が見られた。 先に、ファイル「カツオ竿釣操業」に示したカツオにまたがる恵比寿様のように、カツオ漁業の根拠地では カツオが生活に溶け込んでいることが分かる。

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