FishTech - Photographs of Fishing Techniques −漁業技術の画像集「FishTech」−
by Emeritus Prof. Hiroshi Maeda, Fisheries College, Shimonoseki, Japan in collaboration with Asst. Prof. Koichi Fukada, Fisheries College, Shimonoseki, Japan
[著] 水産大学校名誉教授・理学博士 前田弘 [協力] 水産大学校助教授 深田耕一

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トビウオ延縄



 延縄は、一般に魚類・イカや底棲動物を捕食する魚類を漁獲する方法の1つであると考えられている。 しかし、ここに示すトビウオ延縄は、その例外であり、動物プランクトン食のトビウオを漁獲する。 すなわち、食物連鎖の中で魚類としては最も低い位置にあるものを漁獲する漁法とみなせる。

 宮崎県の漁師は延縄の扱いを得意とし、同じ魚種を対象とする延縄でも、宮崎県の漁師が扱う延縄は細い。 幹縄に張力がかからないように微妙に操船すると言われている。他方、宮崎県は短期間であるが、 大型のトビウオが多量来遊する北限である。これらのために宮崎県南部にはトビウオ延縄が見られる。 その漁獲物をNo.1に示す。

No.1
[No.1: ft_image_13_15/image13-15-001.jpg]

No.2
[No.2: ft_image_13_15/image13-15-003.jpg]

No.3
[No.3: ft_image_13_15/image13-15-005.jpg]

No.4
[No.4: ft_image_13_15/image007.jpg]

No.2は1970年代中頃に使われていた漁具、No.3とNo.4は1990年代中頃に使われていた漁具である。 いずれも基本構造はほとんど同じである。No.2には、スケールとしてボールペンを示したので、 これらの写真から大体の大きさと枝縄の数が分かる。

 この延縄は、普通の延縄と異なり、薄い木箱に収納される。この木箱の底はスノコになっており、 内側には1枚か2枚の板が側壁に平行につけられる。これには藁が結ばれており、釣針はそれに懸けられる。 すなわち、この木箱を重ね合わせると、釣針は箱の中に入ってしまう。

 幹縄は撚糸で、以前にはカッチ色に染めたものと染めないものが見られたが、現在では染めていない。

 この延縄は昼間に使われる。水色や黒く染めるかモノフィラメントの方が見えにくいと考えられるが、 そのようなものは見られなかった。(見えにくさだけに重点を置けば、モノフィラメントの縄も考えられるが、 それでは枝縄取り付けや切断した幹縄の繋ぎ合わせを含め扱いにくいだろう)。

 枝縄はモノフィラメントである。

 トビウオは極表層を回遊する。No.2に示すように以前には1鉢に数個の割合いで小さな木片の浮子を 前以てもって付けておき、縄を極表層に保った。しかし、No.6に示すように、この木片の浮子は 投縄時に付けられるように変わった。

 イカをシラスに似せて細く切り、それをシラスの大きさに切って、釣針の根元に束ね、テグスで結び、 餌とした。1990年代では、イカを解凍し、辛うじて釣針に懸けられる大きさに切り、それを食紅で 染めて釣針に懸けて用いるように変わった。この食紅は、色そのものが有効なのか、他の意味があるのか疑問が残る。

No.5
[No.5: ft_image_13_15/image009.jpg]

No.6
[No.6: ft_image_13_15/image011.jpg]

 この漁業に用いられる漁船の写真である。

 普通の延縄漁船には右舷船首付近にラインホーラがある。しかし、この船では見られない。船尾の低い 位置に棚が張出している。これは、この地方の一部の漁船に見られる特徴である。ここから投縄をする。

 縄は右舷船尾付近から揚げられる。和船を基本とすれば、このように船尾に座って作業する形態は考えられる。 この作業形態は瀬戸内海で稼動している例えばタコ壷や一本釣漁船でも見られる。

No.7
[No.7: ft_image_13_15/image013.jpg]

 No.7はこの漁業に使う漁船と並んで泊っていた漁船の写真である。この地方独特の漁船の船尾構造を示す。 船尾右舷内側にラインホーラ、左舷内側に浮子が見られる。しかし、これらがトビウオ延縄に用いられるか どうか確認できなかった。

 

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